今回はご自身の着た振袖をお嬢様が着用する「ママ振袖」を検討中の方に、
振袖で思いを受け継ぐことができる素晴らしさと振袖の着用準備についてお話いたします。
振袖で思いを受け継ぐ
お嬢様にご自身が着用した振袖を着てもらいたいと考えているお母様の中には、
真新しい振袖の中でママ振袖が見劣りしないかと不安に思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、
そのようなことは全く心配する必要はありません。
何故なら、現在の振袖よりも昔の振袖の方が高価で手が込んでいるものがほとんどだからです。
昔の振袖は色染めから柄付けまですべて手書き、
更には刺繍まで施されて立体的に仕上げられた作品までも多く見受けられました。
それに比べて機械の技術が発展してきた現代、振袖の柄付けに機械を用いることも増え、
艶やかな柄の着物であっても昔より安価に手に入るようになりました。
同時に、技術を持った職人が減ったことにより、
昔の振袖と同じものを今の時代で再現することは技術的に難しくなったといわれています。
それだけ昔の振袖は、職人の技術が込められた高価な物が多いのです。
そして、ギャルが流行だった10年ほど前、
人気があった近代的で洋物のお花などがあしらわれた振袖よりも今は、
「モダン」「レトロ」柄の振袖が人気筋です。重ね襟など、
小物類の変更が必要な場合がほとんどではありますが、
ママ振袖の柄などが真新しい振袖と比べて見劣りするということはほとんどありません。
むしろ、お母様のご両親が子どものためにと、思いをこめて仕立てた高価な振袖を、
さらにそのお子さんのお嬢様が着てくれるとは、なんと素敵な事でしょう。
例え、ご両親からどんなに思いとお金を込められた振袖を送られた方でも、
お子さんがいない、娘さんがいないなど様々な理由で受け継ぐ事もできず、
タンスの中で眠ったままになってしまうこともあるのですから。
お嬢様のママ振袖着用は、なんとも羨ましがられる事なのではないでしょうか。
ママ振袖の着用準備
ママ振袖を着用する時の準備についてお話しします。
主に必要になってくる準備は3つあります。「小物合わせ」と「サイズ直し」と「汚れ落とし」です。
小物合わせ
ママ振袖を着用される方の多くが、お母様が着用された小物とは別の小物を揃えています。
理由としては、ママ振袖であってもオリジナリティを出したいという思いで小物を新調する場合や、
お母様時代の小物と振袖の合わせ方を、現在の小物と振袖の流行に合った合わせ方にするためです。
例えば、昔は帯揚げと帯締め、重ね襟の3点を同じ色で合わせるコーディネートが支流でしたが、
今は3点ともに違う色を選ぶコーディネートが一般的になっています。
また、小物の新調、変更を考えていない場合であっても長期間の保管によって、
小物が足らなくなっていたというお話しを聞くこともありますので、
振袖に合わせる小物をしっかり確認する必要があります。
サイズ直し
サイズ直しとはお母様の身体に合わせて仕立て上げられた振袖を
お嬢様の身体のサイズに仕立て直す事です。
お母様とお嬢様の体格がほとんど同じ場合はサイズ直しが要らない場合もございますが、
身長だけでなく肩幅や腕の長さ胴回りも関係してくるため、
直しを入れた方が綺麗に着ることができます。
汚れ落とし
次に汚れ落としについてお話します。
着用後はクリーニングに出してからしまった振袖、
それなのに汚れが出ていると驚かれる方がいらっしゃいます。
お洋服でもしばらく着用していない間に、見覚えのないシミが出てしまうことがあると思います。
それと同じように振袖にも保管している間に湿気などによってシミやカビなどの汚れが発生します。
そして、簡単に水洗いができない絹の生地は、時間がたった汚れ程、
専門業者ですら落としきれないものとなっていきます。
また、長期間の湿気によるシミ以外にも、襟元には化粧品汚れや汗ジミ、
裾には泥はねなどによる裾汚れが残っている場合がありますので、事前のチェック忘れずにしてください。
そのようなシミやカビなどの汚れを落とす場合、
洗い張りという着物の糸を全てほどき１つの反物に戻した状態で
汚れを落とす特別な洗いかたをすることになります。
しかし、そこまでして洗ってもシミ汚れが残ってしまう場合もあり、
その時には汚れを見えないように上に柄をつけて綺麗に仕上げる方法もありますので安心して下さい。
ママ振袖着用予定の方もお早めにご相談ください
ママ振袖着用予定の場合も小物の不足、サイズの問題、
汚れなどの思いもよらないようなトラブルが起きることがあります。
人生に一度の成人式を最高の状態で迎えるためにもお早めにママ振袖の一式をご持参の上、
ご相談いただければと思います。
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