みやこやスタッフブログ 振袖について

古典的な吉祥文様の振袖の魅力

色とりどりの花々や吉祥文様で彩られた絢爛豪華な美しい振袖は、ただ華やかに見えるよう花で飾り立てているのではなく、それぞれに子供の成長を願い、纏う者を守る切なる願いが込められています。今回はそのなかでも古典的な吉祥文様に見るデフォルメされたモチーフの造形の面白さに注目してみましょう。

御所車

いにしえのセレブカー

御所車とは高貴な人が乗る牛車のことで、宮中の儀式に用いられたことからこの名で呼ばれるようになりました。源氏車文ともいい、草花や流水と合わせて用いることが多く、現在でも婚礼用振袖・留袖などに用いられています。車輪部分だけをグラフィカルに図案化した文様もよく見かけますね。さしずめ優れたホイールデザインといったところでしょうか。御所車文様は冨と豊かさを象徴する吉祥文として使われるおめでたい文様なのです。

松竹梅

おめでたい植物ベスト3

古来から尊ばれてきた「松竹梅」は三寒三友といわれ、極寒でも緑を絶やさない松、寒さに負けず青々とまっすぐに伸びる竹、冬の寒さからいち早く花を咲かせる梅は、逆境にあっても節操を守る例えとされてきました。日本では君子の象徴として古くから祝儀に欠かせないアイテムです。

貝桶

昔の嫁入り道具ナンバーワン

貝桶とは、貝合わせの貝殻を入れるふた付きの桶のことで、八角・六角・四角・丸形などがあります。貝殻は、地貝用と出し貝用の2個で一組となっています。蒔絵を施したゴージャスなデザインで、江戸時代には嫁入り道具の一つとされてきました。ぴったり合う貝は一組しかないことから、夫婦の中の良さ・転じて良縁に恵まれるという意味が込められています。

宝尽くし

最強のラッキーアイテム

宝物を集めた文様で、宝珠、打出の小槌、分銅などを図案化したおめでたい柄です。
宝珠:おもいのままになる
隠れ蓑・隠れ笠:体が隠れる
打出の小槌:打てば宝がでてくる
鍵:大切なものを守る土蔵の鍵
金嚢:砂金や金貨を入れる
宝巻・巻軸:ありがたいお経の巻物
筒守:宝巻・巻軸を入れる物
分銅:金を計る
丁子:貴重な薬・香料
花輪違い:七宝
など、それぞれに長寿や子孫繁栄の象徴としてセレクトされた宝物の数々です。

檜扇

グラフィカルなフォルムが特徴的

檜扇は檜の薄板を絹糸で綴じた雅な扇で、平安時代の装身具の一つ。檜扇は十二単のお姫様が持つ扇であり、雅やかな風情を演出してくれます。日本の伝統文化の源流となる平安時代のモチーフは、華やかな振袖や婚礼衣装に多く用いられています。

吉祥文様は我が子のつつがない人生を願う親の思いと、一族をあげての子孫繁栄への願いがさまざまに込められた文様です。私たちが今、未知の疫病との戦いに直面しているからこそ、昔の人々が切に願いを込めて作り出してきた文様というものが理解できる気がするのです。

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