卒業袴は、大学や専門学校の卒業を控えているお嬢様の憧れ。
ですが、「どうして卒業式では袴を履くの?」と
最初は疑問に思ってしまいますよね。
今回はそんな疑問に答えるべく卒業袴の歴史や、
必要なアイテムを紹介していきます。
卒業袴の歴史
卒業袴は今では教育を終えた女性のシンボルですが、
その歴史は思ったより浅いのです。
江戸時代以前、女性は「勉強より家庭のことができれば良い」と言われていました。
そのため、義務教育を6年受けた後の女性の進学率はかなり低かったのです。
そんな中、文明開化の幕開けにより教育も近代化を求められ、
明治初期には女学校が開校します。
着物姿での勉学や運動は何かと不便だという声が上がり、
袴が彼女達の制服となりました。
しかし当時は「袴は男性が履くもの」
「女性が男性用の袴を身に着けるのは荒々しい、醜い」という反発の声もあり、
明治16年には男物の袴を女学生が身に着けることが禁止されてしまいました。
そこで女性用の袴が開発されました。
袴の歴史は古墳時代にまで遡りますが、
女性用の袴の始まりは平安時代、宮中で働く女性が身に着けていたものとされています。
それを参考に、今でも卒業袴として着られている女性用の袴が完成したのです。
袴は憧れ?
女学校が開校され女性の進学率が上がったとはいえ、
14~15歳で嫁入りしたり、働きに出るのが当たり前の時代です。
女学校に通うことができたのはごく一部の富裕層のお嬢様だけでした。
そんな女学生は「ハイカラさん」と言われ、女の子たちの憧れの的となりました。
現代では卒業式で多くの女性が袴を身に着けます。
明治時代に女性たちが築き上げた歴史を感じながら
胸を張って凛々しく、可愛く着飾りましょう。
袴を着る時に必要なアイテム
袴を着る時には、振袖を着る時と違う物をいくつか用意しなければなりません。
ここではそのアイテムの紹介と、おすすめや取り合わせを紹介していきます。
着物(二尺袖着物)
振袖は大まかに「大振袖」「中振袖」「小振袖」の三種類に分けることができます。
結婚式などでよく着られるのが、
床に引きずってしまうほど長い袖を持つ「大振袖」です。
成人式に着る、私達が一般的に「振袖」と呼ぶ着物は「中振袖」と言います。
そして袴に合わせる袖が短い振袖が「小振袖」です。
「二尺袖着物」とも呼ばれています。

(二尺袖の振袖に袴を合わせた姿)
動きやすさを重視した機能的な面と、
優美さを兼ね備えた二尺袖の着物は学問の場にピッタリですね。
活発さや可愛らしさを演出することができます。
おすすめは「矢絣」という昔から定番の柄。
矢は一度放たれるとまっすぐ飛んで戻ってきません。
そのため嫁入り道具に矢絣柄の着物持たせる風習がありました。
おしゃれで女の子らしい柄は今でも人気です。
また、成人式で着た中振袖を袴に合わせるのも問題ありません。
袖が長いので模様や柄が引き立ちます。
より豪華な印象を持たせたい時には中振袖を選ぶと良いでしょう。

(中振袖に袴を合わせた姿)
袴
袴にも現代はさまざまなバリエーションがあります。
よりどりみどりの色はもちろん、
グラデーションになっているものや花の刺繍が入った可愛らしいものまで選択肢が沢山あります。
着物の色とのバランスを見て決めるのがおすすめです。
着物と袴が同系色ならまとまりがあり落ち着いた印象になり、
反対色なら個性的な印象を与えることができます。
「袴の色がどうしても決まらない!」というお嬢様には海老茶色の袴をおすすめします。
平安時代の宮中で働いていた未婚の女性が身に着けていた
「濃色(こきいろ)」にインスピレーションを受けた海老茶色の袴は、
女学生の制服にも多く採用されていました。
海老茶色の袴を履いた女学生は紫式部と掛けて「海老茶式部」と呼ばれていました。
当時の憧れの的の代名詞です。
また、「海老茶式部」の他に「紫御門」という言葉も存在します。
こちらは東京で開校された「跡見学校」の制服として採用された
紫色の袴の女学生に対して付けられた名前です。
昔は身分によって身に着けられる色が決まっており、
紫は一番身分の高い人しか身に着けられない色でした。
高貴な気分で卒業したい方におすすめです。
袴下帯(半幅帯)
振袖姿では帯は体の真ん中に来るのでとても目立つアイテムですが、
袴姿の場合帯は名前の通り袴の下に来るので見える面積は広くありません。
しかし、着物と袴の色を繋ぐ大事な差し色となるのでおろそかにしてはいけません。
チラッと見える場所が大事なポイントと言えるのです。

着物の柄に使われている柄を取り入れると全体のバランスが良くなりますし、
着物と袴が同系色の場合は帯も同系色にしてグラデーションを作ってみてもおしゃれです。
反対色を取り入れるとメリハリが出て引き締まった印象になりますね。
半幅帯は浴衣を着る時にも使われる帯です。
家にある帯から着物や袴の色を決めるといったコーディネートもできるので、
試してみてください。
まとめ
ただでさえ色の取り合わせが多くコーディネートの難しい着物ですが、
袴は更にアイテムが増えるので悩むことも多いかもしれません。
そんな時にはみやこやへ足を運んでみてください。
理想の振袖姿を一緒に作り上げ、素敵な卒業式を迎えましょう。
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